「TECH BEAT Shizuoka」仕掛け人に聞く、スタートアップが静岡に来るべき理由

中西 勝則氏|静岡銀行 代表取締役会長

静岡にはテクノロジーを飛躍させる環境がある

——テクノロジースタートアップと静岡企業のマッチングを行い新たな産業創造の種を生み出す「TECH BEAT Shizuoka(テックビート)」を立ち上げた背景を教えてください。

私はこれまで、アメリカのシリコンバレーをはじめ、現在注目を集めているエストニアやフランスなどのヨーロッパ、そしてアジアといった世界各地で、スタートアップが勃興している地域を見てきました。デジタルテクノロジーを活用したスタートアップの場合、起業は場所に依存せず、どこでもできます。各国をまわるなかで、優れたテクノロジースタートアップには立地する周囲の環境に特徴があることに気づきました。スタートアップが勃興する場所というと大都市のビル街をイメージされる方もいると思いますが、優れたテクノロジーが生まれているのは、豊かな自然があり、繁華街にも近く、スポーツができる場所もあるといった地域が多いことを発見したのです。静岡には雄大な自然があり、同時に大消費地の東京からも1時間圏内。生産、物流を中心に多くの企業が存在します。そういった環境のもとで、スタートアップの方々に土地も既存ビジネスも豊かな静岡を使ってもらいたいと考えました。

——どのようなテクノロジースタートアップを求めていますか?

常にフロントランナーであり、トップであることを目指しており、攻める姿勢を持つデジタルテクノロジースタートアップにぜひ参加して欲しいです。領域はニッチで構いません。静岡には多様な業種があるため、あらゆるテクノロジーを受け入れることが可能です。農業や医療はもちろん、製造業であれば自動車の生産ラインでIoTを用いて生産性を上げる技術が必要ですし、バイオテクノロジーとデジタルテクノロジーのハイブリッドがあっても面白いと思います。
また、静岡はテクノロジーを飛躍させる実証実験に必要な空間を提供することができます。たとえば、静岡県産業振興財団が県と協力して整備を進めている5Gやモビリティの分野に加え、静岡には伊豆のドローン練習場、バイオ技術の開発拠点である「AOI-PARC」、光・電子技術のフォトンバレーセンター、そして医療分野ではファルマバレーセンターといった施設や場所もあります。熱海や裾野、浜松ではスタートアップ拠点が増え、活動が活発化しています。共通しているのは、それぞれの環境が良いということですね。ナンバーワンかつオンリーワンを志向するテクノロジーに対して、共に、更に発展させていこうという気風が、今の静岡にはあります。

静岡の歴史とオープンイノベーションを融合させる

——一方で、テクノロジーの側面で、静岡の課題はなんでしょうか?

まず挙げられるのは人材の不足です。これに対しては小中高校、大学、そして社会人といったそれぞれの階層で教育を行いテクノロジー分野の人材を底上げすることに加え、トップガン的な優秀人材を伸ばしていく人材育成も重要だと考えています。
静岡の歴史を振り返ってみると、古くは徳川家康の時代に持ち込まれた技術をはじめ、ものづくりや物流、工業生産といった技術が発展を牽引してきました。もちろんそれらの歴史に学び、そのなかで活かせるものも多くあります。しかし、5年後、10年後を考えたときには、「革新的なデジタル技術」を導入し、活用していかなければなりません。現状その部分においては、残念ながら東京や名古屋の借り物が多いと言わざるを得ないのが事実です。

——「TECH BEAT Shizuoka」を起爆剤に、静岡でのデジタル革新を実装していきたいと。

静岡銀行として今後検討していくのは、CVC構想です。CVCが、どのようにスタートアップ企業に関わり、お金を出していけるかということと、ファンドを引きつけることです。7月の「TECH BEAT Shizuoka」では、様々なコンテンツでイベントを開催しますが、その中ではベンチャーキャピタルのセミナーも行おうと考えています。
こうしたイベントを、銀行が旗振りするとテクノロジーもフィンテックの領域に偏ってしまうのではと考えられがちですが、そうではありません。金融に限らず多様な領域の技術でオープンイノベーションを進め、加速していきたいと考えています。

——地元静岡のビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

今の時代、社内に閉じこもって考えていても見えてこないヒントが沢山あります。「TECH BEAT Shizuoka」はいわゆる「見本市」ではありません。イベントに足を運び、世界一を目指すテクノロジースタートアップの各社とぜひ会話してみてください。彼ら彼女らの目指す世界を静岡の企業が一緒につくっていく、そういった相手、そういったチームが見つかる場所、それが「TECH BEAT Shizuoka」です。
これからの社会に必要なのは自前主義ではなく、オープンイノベーションです。静岡発のオープンイノベーションを起点に、テクノロジーとビジネスのレベルを高めていきたいと考えています。ぜひ「TECH BEAT Shizuoka」にご参加ください。

インタビュアー:西村真里子(HEART CATCH)

文:細越一平(Story Design house)

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