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レポート & コラム

Report & Column

TECH BEAT Shizuoka 2025 レポート(day2 – 2025/7/25)

TECH BEAT Shizuoka 2025 レポート(day2 – 2025/7/25)

Day2 / 2025年7月25日(金)

7月25日(金)、開場とともに入口に行列ができ、2日目も活況の中イベントが始まりました。開場から1時間ほど経つと、1~6階の出展ブースエリアは多くの来場者で賑わい、3階の商談スペースではアプリから事前商談予約を行った来場者がスタートアップと商談に臨む光景が見られました。

また、会場内中ホールで25日(金)、26日(土)の2日間にわたり開催された「BLUE ECONOMY EXPO @ Suruga Bay 海の未来会議」(主催:一般財団法人マリンオープンイノベーション機構)に参加した研究機関や海洋産業関係者も、TECH BEAT Shizuokaに来場いただき、分野の垣根を越えた交流が生まれていました。

会場風景(day2、入口付近の様子)

出展ブースエリアの様子(day2)」

基調講演・セッション:1階ステージINNOVATION GATE

2日目最初のセッション「演劇脳とビジネス脳」に登壇されたスズキ株式会社の石井副社長は、経営層への演劇ワークショップの実施を通じて、環境や他者に対する受信力・感度を高めて与えられた役になりきる、という俳優・演劇のあり方は、ビジネスシーンにも通じるところがあると感じられたそうです。AIやテクノロジーが急速に発達する今の時代、人間だからこそ持ち得る感性や表現を武器として磨くべき、という静岡舞台芸術センター(SPAC)の宮城監督の想いに「深く共感し、考えさせられた」と経営者からも数多くの感想が寄せられました。

1階ステージINNOVATION GATEのセッション風景

続く「地域企業はどうAI活用を進めるべきか」には、昨今注目を集めるAIをどのように活用・普及させていくか、社内改革を進めるためのヒントを得ようと、多くの観客が詰めかけました。また、「地域企業の「労働力不足」を突破する本質的連携とは ─地域課題解決DXコンソーシアム─」では、多くの産業が根付く地方で企業の生産性向上や課題解決を進めることが日本経済やスタートアップの成長に繋がり、その手段として、コミュニティ形成と事例共有が必要であることを学びました。

セッション「地域企業はどうAI活用を進めるべきか」の会場風景

「インドの次の10億人」は、急速に発展するインドの暮らしや文化の「今」、地域課題の解決や研究開発、イノベーション創出のフィールドとしてのインドの魅力が伝わるセッションでした。

セッション「インドの次の10億人」の登壇風景

「静岡から始めるイノベーションと豊かなまちづくり」では、デンマークにおける先進的なまちづくりの事例をもとに、スタートアップと地域企業が連携して実現する、これからの静岡が目指すべきあり方について、貴重な意見を共有いただきました。

セッション「静岡から始めるイノベーションと豊かなまちづくり」の登壇風景

「静岡から始まる“モノづくり”の新しいカタチ ―トヨタ・ホンダ・スズキが本気で挑む地域共創―」は、静岡にゆかりのある自動車会社3社の有志が、地域の人々とともに実施したワークショップを通じて浮かび上がった「若者の人口流出」という課題に対して、製造業の未来を担う子どもにものづくりの楽しさ、移動の楽しさを伝える体験企画を考案、試行するまでのプロセスと、共創について語り合いました。

セッション「静岡から始まる“モノづくり”の新しいカタチ」の登壇風景

最後のセッション「静岡発イノベーション企画公開作戦会議! ~問いから始める、メディア×スタートアップ/大企業の共創の未来~」は、メディアが得意な魅力の切り取り方、発信力を活かして静岡発・地方創生を推進していこう、という力強いメッセージに満ちていました。

セッション「静岡発イノベーション企画公開作戦会議!」の会場風景

テーマ別スタートアップピッチ

上層階で初日から2日間にわたって開催された「テーマ別スタートアップピッチ」。営業支援や製造業、建設業の課題を解決できるような製品・サービスを持つスタートアップから、各社の強みを凝縮して紹介いただきました。スタートアップに興味はあっても、どんな雰囲気・事業を展開しているかよくわからない、という初心者の方から好評でした。

テーマ別スタートアップピッチの会場風景

ピッチ・セッション:10階ステージATOTSUGI BOOST

2日目、10階のステージでは「静岡アトツギベンチャー100人組手」と題して、短い時間で企業概要やアイデアや製品を売り込むピッチ形式で、県内企業のアトツギ11名に熱い想いを語っていただきました。アトツギの皆さんの熱い想いに応えて、ダブルMC(師範)からは、マーケティング、ブランディング、コミュニケーションなど様々な視点でアドバイスをいただき、「ターゲットは静岡・日本だけじゃない、世界を目指そう!」という熱いエールが贈られました。

続くセッション「静岡をベンチャースピリッツ日本一に!スタートアップ×アトツギが混じる成長と共創のコミュニティSIBとは」も含め、新しい事業に挑戦する登壇者の心意気やアイデアに大いに刺激を受けたプログラムでした。

10階ステージATOTSUGI BOOSTのピッチ風景

基調講演・セッション:11階ステージFUTURE DRIVE

「地域とビジネスを繋ぐ、スポーツの大いなる可能性」では、スポーツと「応援」×「がんばる姿」×「ファンサービス」が様々なしがらみを超えて地域を動かし、コミュニティの創出・活性化に貢献するものである、ということを学びました。サッカー、バレーボール、バスケットボール、卓球など多くのプロスポーツチームを擁する静岡で、スポーツが果たす役割に大きな期待を感じるセッションでした。

11階ステージFUTURE DRIVEのセッション風景

この日のステージでは、社会貢献とビジネスとの両立を目指す「ゼブラ企業」の育成支援を話題にした「共創による持続可能な地域づくり」、県内スタートアップが社会課題解決に向けた事業展開、小規模事業者の社会貢献と経済性の両立について意見を交わした「地域企業は社会課題とどう向き合うべきか」など、社会・地域の課題から目を背けず、課題解決をビジネスに繋げる企業の在り方をご紹介しました。

セッションの様子(登壇風景1)

セッションの様子(登壇風景2)

また、静岡県内発スタートアップ2社の経営者による「県内スタートアップのグロースストーリー」、静岡の人材派遣企業の属人的な営業からチーム営業への転換、コンプライアンス対応など、多面的な営業改革への取り組みを紹介いただいた「2030年を見据えたアイエーイーの営業改革への挑戦」から、地域の企業が新しいことに挑戦する姿に刺激をうけた、という感想が寄せられました。

そして昨年のセッションで注目を集めた立命館小学校の正頭先生による「エンタメと教育とビジネス ~桃鉄教育版をバズらせるために仕掛けたこと~」では、桃鉄教育版プロデュース・普及に当たっての苦労、工夫をお話いただきました。教育のお話から、子育てに留まらず人材育成など日々の仕事を顧みる方も多かったようです。

セッション「県内スタートアップのグロースストーリー」ほかの会場風景

TECH BEAT Shizuoka AWARD 2025 表彰式

TECH BEAT Shizuokaでは、前年度のイベントを契機とした県内事業者とスタートアップとの優れた協業・取組事例を多くの方に知っていただき、共創の参考としていただけるよう、「TECH BEAT Shizuoka AWARD」として称揚しています。今回は、以下の3事例が選出され、受賞企業各位に、取組の内容やポイントについて語っていただきました。

TECH BEAT Shizuoka AWARD 2025 表彰式の様子

【静岡県知事賞】株式会社テクノミックスメンテ×any株式会社

株式会社テクノミックスメンテでは、若手社員の育成、業務の属人化解消といった目的のため、設計・製造部門でany株式会社の「AIナレッジプラットフォーム Qast」を導入しました。このAIプラットフォーム上に既存資料を集約・学習させ、利用者が検索機能を活用することにより、個々の担当者に蓄積されたノウハウが共有できるようになり、ベテラン社員の経験頼みの情報探し・判断からの脱却を目指しています。
<株式会社テクノミックスメンテ>https://www.tmm.co.jp/
<any株式会社>https://anyinc.jp/

【実行委員会委員長賞】株式会社BREXA Technology(旧:株式会社アウトソーシングテクノロジー)×株式会社HACARUS

株式会社アウトソーシングテクノロジーが従来扱っていたAI外観検査ソフトでは、詳細な画像検索が難しく、課題を感じていたところ、TECH BEAT Shizuoka 2024で株式会社HACARUSの高精度AI外観検査ソフトに出会いました。株式会社BREXA Technologyのハードウェアに株式会社HACARUSの高精度AI外観検査ソフトを搭載し、連携して販路拡大を目指しています。
<株式会社BREXA Technology>https://technology.brexa.com/
<株式会社HACARUS>https://hacarus.com/ja/

【特別賞】株式会社サイダ・UMS×株式会社スカイディスク

株式会社サイダ・UMSは、業務の効率化・属人化を解消するため、TECH BEAT Shizuoka 2021で出会った株式会社スカイディスクの生産管理システム「最適ワークス」を導入。2社間の定期的なミーティングを続けて3年かけて管理者の暗黙知を言語化・共有できる仕組みを整え、生産計画のDXを実現しました。これにより、ベテラン社員から若手社員への業務移管が順調に進んでいるそうです。
<株式会社サイダ・UMS>https://www.saidagroup.jp/ums/
<株式会社スカイディスク>https://skydisc.jp/

イベント終了後、大ホールステージでは、「Kick Off Night!」と題して、静岡県と東京都のスタートアップ連携担当者によるトークセッション、県内自治体によるスタートアップへの自治体紹介ピッチが行われ、飲み物を片手に出展者と自治体職員とが語らいました。また、静岡県外からの出展者・来場者に静岡の夜を楽しんでいただきたい、という想いを持つ企業の方々により、静岡の街中で交流イベントが複数開催されました。

サブイベントの様子