TECH BEAT Shizuoka 2024 レポート(2day – 2024/7/26)
2024年7月26日(金)
TECH BEAT Shizuoka 2024の2日目は、鈴木康友静岡県知事による挨拶から始まりました。鈴木知事は浜松市長時代からスタートアップ支援に積極的に取り組んできた知見を活かし、今後は静岡県下全体へスタートアップの拠点を誘致し、産官学金の連携強化により県内のスタートアップコミュニティ発展に努め、スタートアップ先進県を目指したいという思いを熱く語られました。
開会後のメインステージで多くの参加者の関心を集めた慶應義塾大学医学部教授の宮田裕章氏らによる最初のセッション「地域共創で未来をつくる」では、岐阜県飛騨市に設立が予定されている先端技術を活用し地域とともに学ぶ大学「飛騨高山大学(仮称)」や全国から起業を志す若者が集まる徳島県神山町の「神山まるごと高等専門学校」、武蔵野美術大学のフィールドワークを通じた地方と学生の繋がり形成といった取組を紹介いただき、異分子や次世代を巻き込んで地域の人々とともに地域に新しい価値を生み出すために、どのような視点・仕組みが必要かを熱く語っていただきました。
続く「静岡のイノベーターが世界を目指す理由」では、スタートアップのM&Aなど研究開発に外部資源を活用し、収益性が高い部門の経営に注力する世界の企業の在り方などを紹介。
スタートアップの新しい発想・技術と、日本企業が海外で開拓した販路や培ったプロダクトマネジメント力を組み合わせることで、日本・静岡から世界を目指すことが出来るのではないか、といった提言をいただきました。
午後のセッションでは、「次世代エアモビリティを成長産業へ 〜デジタルツインが切り拓く未来」では、空飛ぶ車やドローンなどの次世代エアモビリティ開発の現状、将来的な利活用に向けた技術・制度上の課題を解説。静岡県が全国に先駆けて整備を進める三次元点群データを用いて仮想空間上にデジタルツインを作成し、シュミレーションを重ねることで、静岡発・エアモビリティの社会実装が大きく進展する未来に大きな期待が寄せられました。
続く「ダイバーシティから生み出すイノベーション」では、デジタル化、AIの台頭により個人・企業のニーズが細分化され、人口減少により働き手が減少する中、今後は企業において多様な人材を獲得することがますます重要になる、という洞察に対して、自社の対応状況を改めて考えた参加者も多かったようです。「スタジアム・アリーナを核としたまちづくり」は、浜松市や静岡市で近年、スタジアム・アリーナ構想が持ち上がっていることから大きな関心を集め、最終セッションにもかかわらず多くの来場者に聴講いただきました。
1日目に続いて、商談スペースや展示ブースで熱心に情報収集やスタートアップとの意見交換を行う来場者の姿があちこちで見られました。また、スタートアップの製品体験コーナーや3階・6階の体験ブースにも、多くの方に興味を示していただくことができました。
また、11階会場では、優秀なICT人材や経営者を多く輩出するインドや、世界の大学ランキングでアジアNo.1の中国・清華大学、経済成長目覚ましいアフリカなど世界のスタートアップの動向紹介、地元企業のアトツギ達によるスタートアップ共創など、様々な切り口でイノベーション創出のポイントを学べるセッションを実施し、グランシップ全体が学びの場となりました。
セッション終了後、この日最後の催しとして、前年のTECH BEAT Shizuokaを契機として生まれた県内企業とスタートアップの優れた協業事例を称揚する「TECH BEAT Shizuoka AWARD 2024」表彰式が執り行われました。
今回は、360度カメラを活用した遠隔地工場視察による生産性向上に取り組んだ臼井国際産業株式会社と株式会社Nossaに静岡県知事賞、双方の課題と技術を組み合わせ、IoT自動制御プロダクトの共同開発を行った株式会社イシダテックと株式会社ゼロワンに実行員会委員長賞が贈呈されました。各企業に登壇いただいた取組の概要紹介には、身近な成功事例を学び自社に活かそうとする県内企業から大きな関心が寄せられました。