TECH BEAT Shizuoka 2024 レポート(1day – 2024/7/25)
2024年7月25日(木)〜3日間に渡ってグランシップで開催されたTECH BEAT Shizuoka 2024。
首都圏を中心に国内外から139社のスタートアップが参加しました。そして真夏の太陽が照りつける中、約8,000人の来場者で大変な賑わいとなり、会場は熱気で包まれました。
昨年度を上回る過去最多のスタートアップが出展したTECH BEAT Shizuoka 2024会場では、先端技術を体感でき、幅広い年齢層が楽しめる体験ブースが人気を集めました。
株式会社WONDER VISION TECHNO LABORATORYは、大型の半球体スクリーンを使用して人間の空間認知メカニズムを再現した迫力ある映像体験展示を披露。
実際にその場にいるかのような感覚で美しい風景や静岡県が推進する「三次元点群データ」を活用した躍動感のある映像体験が実現しました。
また、特殊なセンサーが内蔵された「IoTクリケットバット」の体験ブースが設けられたインドパビリオンでは、子どもから大人まで幅広い層がバットを振る姿を見ることができました。
今年のTECH BEAT Shizuoka 2024は、静岡の次世代を担う子どもや学生が先端技術に親しむ機会を作るため、初めて平日だけでなく土曜日もイベントを実施しました。
株式会社リトプラの「AR(拡張現実)砂遊び」「お絵描き3Dレーシング」といったデジタルと昔からの遊びを融合させた体験は子ども達に大人気で、先端技術に触れるだけでなく、来場者が未来の技術を垣間見ることで想像力を膨らませる場となったのではないかと思います。
2024年7月25日(木)
オープニングセッション
イベントは、TECH BEAT Shizuoka 実行委員会の中西勝則委員長(株式会社しずおかフィナンシャルグループ代表取締役会長)による、静岡の産業・地域社会の未来への展望と国内外から集まったスタートアップによる地域活性化への期待を込めた挨拶で始まり、開会に当たり駆けつけてくださった内閣官房副長官(当時)の村井英樹氏から、地域の発展におけるテクノロジーの重要性、TECH BEAT Shizuoka 2024への期待について語っていただきました。
各セッション
オープニング後、早稲田大学大学院経営管理研究科教授の入山章栄氏と、WiL創業者・共同代表の伊佐山元氏による基調講演「世界の現場からみる、静岡の中堅・中小企業が進むべき道」を実施しました。
毎年、TECH BEAT Shizuokaに登壇いただいているお二人には、「富士山やお茶、浜名湖など、静岡には世界に誇れるものが沢山ある。地域の資源を海外富裕層向けに上手くブランディング・PRしていけば、世界から人が集まるようになる」「シリコンバレーの起業家達は臆病で慎重だが、新しい刺激を受け続けないと人や組織は退化する、という思考で居心地の良い場所を飛び出して挑戦している。恵まれた環境にいると、外に出ていくこと・変化することに対して消極的になってしまうが、異なる言語や未知の分野など、共通認識のない相手と交流し居心地の悪さを体験するべき。様々な経験を積み重ねていくことで自己や組織の変革に繋がる」といった激励の言葉をいただきました。
また、続く「明日から始める!DX/変革をリードする方法~県内製造業の実践事例~」では、スズキ株式会社内におけるDXの進め方、プラスチック加工を手掛ける県内の株式会社プラポートのDXを契機とした社内起業の取組など、実践的な内容を紹介いただき、同じ悩みを抱える県内製造業にとって良い学び・刺激を得る機会となったようです。
そして、お昼の時間帯には、東京大学大学院工学系研究科教授の松尾豊氏、松尾研究室の金剛洙氏に、生成AIとスタートアップのトレンドやこれからの展望について、大変興味深い内容のビデオメッセージを寄せていただきました。
ビデオメッセージの上映に当たっては、TECH BEAT Shizuoka 2024に出展したインドのスタートアップ企業CAMB.AIの多言語音声翻訳AIを活用。松尾氏や金氏の声や口調はそのままに、英語・中国語・韓国語に音声変換されたメッセージを見て、AIの進化や活用への可能性を感じました。
午後からは、生成AI、アート、DXなど多様なテーマを取り上げる豪華なセッションが続きます。ソフトバンク株式会社特別セッション「生成AIの最前線と日本企業の活用戦略~業務効率化と新規ビジネス創出」で最新トレンドを学んだ後、アーツカウンシルしずおか企画セッション「クリエイティブを活かした老舗ホテルのイノベーション~企業活動に取り入れるべきアートの視点」で株式会社中島屋ホテルズが「アート」の視点を活用して企業文化を見直し、地域資源の再発見と魅力発信に活用した事例を紹介いただきました。
また、続く「デジタルやアートが溶け込む「未来のまち」を考える」では、デジタル技術・クリエイティブをビジネスに活用した株式会社NOT A HOTELの事例を紹介いただきました。
また、「拡がる共創活動~ON-SITE Xと地方建設業の可能性」では、TECH BEAT Shizuokaを契機に県内建設業3社が立ち上げ、県外の建設業者からも注目を集めている地方建設企業とスタートアップの協働を促す活動の事例報告などが行われました。
TECH BEAT Shizuoka 2024の盛り上がりに合わせ、協賛企業や出展スタートアップが集う公式の交流会に加え、静岡駅やふるさとづくり大賞を受賞した株式会社創造舎が手掛ける人宿町周辺の飲食店では様々な交流会が開催されました。
TECH BEAT Shizuoka 2024の来場者やスタートアップ、地元企業の人々がドリンクや料理を片手に静岡について熱く意見を交わした熱気が冷めやらぬまま、イベントは2日目に続きます。