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2026/08/27

DAY2 / TECH BEAT Shizuoka2026 イベントレポート

DAY2/2026年7月24日(金)

7月24日(金)、前日に続いて開場を待つ来場者の列ができるなど、盛況のうちにDAY2がスタートしました。
この日は、1階メインステージやミニステージ、中ホール、商談ブースに加え、2階映像ホール、6階のミニステージ、子どもたちがデジタル技術に触れられる11階のスペースまで、グランシップ全体が多彩なコンテンツで彩られました。
オープニングでは、「普段は関わりのない業界のブースにもあえて足を運び、探索を楽しんでほしい」とのメッセージも発信され、思いがけない出会いや新たなビジネスの可能性を求めて、会場を巡る来場者の姿が多く見られました。


[1Fメインステージ]

DAY2最初のメインステージでは、TECH BEAT Shizuokaの常連スピーカーである早稲田大学大学院 入山章栄教授をはじめ、県内自動車部品メーカー4社の新規事業担当者が登壇。TECH BEAT Shizuokaプロデューサー 堀内氏をモデレーターに、「自動車部品メーカーの新規事業への挑戦~変化の時代に『強み』をどう転用するか」をテーマに議論が展開されました。

「ものづくり県・静岡」を支える重要産業の一つである自動車産業。そのサプライヤーも数多く集積する一方、EV化によって従来の価値や事業構造が大きく変わりつつあります。セッションでは、危機感をどう共有し、新規事業や非自動車領域への展開につなげるかについて意見が交わされました。

「健全な危機感が浸透すれば新規事業は生まれる」との指摘や、異業種展示会などを通じて自社の技術を「見つけてもらう」戦略の重要性も紹介。「既存製品を進化させるだけでなく、自社の『強み』を改めて定義し、社会の困りごとと結びつける。業界の内側にとどまらず、積極的に外へ目を向けることが、新たな事業を生み出す鍵となる」ことが示されました。

DAY1に引き続き、DAY2も多彩なスポンサーセッションが行われました。

株式会社ミダスキャピタルによる「地域企業の未来は変えられる。~事業承継とAIが切り拓く新たな成長~」では、これまで「経営者の背中を見て学ぶ」形で行われてきた事業承継にAIを取り入れ、次世代の経営を支える仕組みについて事例を紹介。AIの導入だけでなく、若い世代の発想を生かす環境や周囲のサポート体制が重要であり、最終的な意思決定を担う「人」がAIをどう活用するかが企業の差別化につながるとの展望が示されました。

このほか、株式会社NTTデータ東海による「企業とスタートアップがサービスを立ち上げるまでの挑戦」、NTT西日本株式会社による「AIは創作の敵か、相棒か?」、ソフトバンク株式会社による「フィジカルAI開発最前線から見るソフトバンクの次世代社会インフラ」、日本電気株式会社による「新規事業の停滞を打破する―『やめる・出す・育てる』で実現する組織変革」など、各社がAIやスタートアップとの共創、組織変革の最前線を紹介。それぞれのテーマに多くの来場者が耳を傾けました。

DAY2午後、多くの来場者で賑わうなか、注目セッション「静岡の『懐』に飛び込む。スタートアップ共創の真髄と作法」が開催されました。

静岡鉄道株式会社、鈴与株式会社、しずおかフィナンシャルグループ、大昭和紙工産業株式会社のトップ4名が登壇するとあり、開始前からメインステージ前には多くの来場者が集結。地域に根差した企業とスタートアップが共創するために必要な姿勢について、熱い議論が交わされました。

スタートアップに求められるのは、社会課題を解決したいという情熱に加え、事業として成立させる計画性や、相手企業を深く理解するためのリサーチ。一方で、壮大な社会課題に挑むだけでなく、家族や現場で感じる「小さな困りごと」から始めるスモールスタートも重要だとの意見も聞かれました。

新旧企業とスタートアップが出会い、共通の課題解決に取り組む場への期待も語られ、地域企業の懐の深さと、スタートアップを受け入れる寛容さが感じられるセッションとなりました。

続いて、TECH BEAT  Shizuokaが企画したスタートアップ向け工場見学から生まれたセッションとして、スター精密株式会社とAIスタートアップがタッグを組み地域課題に挑む、「スター精密×AIスタートアップが切り拓く静岡版産業AI革命」が開催されました。

自動化・DXを進めながらも、熟練技術など「人の役割を大切にする」取り組みを紹介。新工場では夜間のほぼ無人化を実現する一方、「現場の仲間」としてスタートアップと一緒に現場に蓄積された言語化されていない知識をAIで可視化し、人がより高度な仕事に挑戦できる環境づくりを進めています。

AIは目的ではなく、理想の現場を実現するための手段であり、現場のこだわりとデータ活用を組み合わせることで、企業の競争力を高める可能性が示されました。

続いてのセッションは、「『フィジカルAI』時代の到来~県内企業はどう備えるべきか」。トレジャーデータ株式会社の三浦喬氏が登壇し、TECH BEAT Shizuokaプロデューサーの西村氏とともに、静岡企業におけるAI活用の可能性を語りました。

日本では商談の多くがオフラインで行われるなか、現場で交わされる会話や、経験に基づく記憶・知覚をいかにデータとして残すかが重要だと指摘。マニュアルにはない現場のノウハウも録音・録画し、自動記録・要約することで、業務の効率化や顧客理解、サービス品質の向上につなげられると説明しました。

「人間が発声したものはすべて資産」という言葉が、AI時代のデータ活用の可能性を端的に示す印象的なセッションとなりました。

TECH BEAT Shizuoka AWARD 2026

DAY2の最後を飾ったのは、メインステージで行われた「TECH BEAT Shizuoka AWARD 2026」表彰式。本表彰制度はスタートアップと県内事業者による協業・共創の中から、優れた取り組みを広く紹介するために設けられたものです。今年は3つの事例が選出され、受賞企業から共創の内容が紹介されました。

■静岡県知事賞:株式会社レント × 株式会社Quantaris Lab(クオンタリスラボ)

「再生プラスチック分析器のリース展開」を通じ、再生プラスチックビジネスの実装を推進。クオンタリスラボ独自の分析技術とレントのリース事業を組み合わせ、資源の安全な再利用とプラスチック再資源化への貢献が評価されました。

■実行委員会実行委員長賞:イメージテック株式会社 × 株式会社346

異物や危険物を検査するエックス線発生装置の開発を手掛けるイメージテックが、346との協業によって製品の使いやすさや訴求力、ブランドイメージの向上を実現。TECH BEAT Shizuokaでの出会いが協業につながったことも紹介されました。

■特別賞:株式会社すみや電器 × 株式会社セールスフォース・ジャパン

創業100周年を機に営業スタイルの変革を目指すすみや電器に対し、セールスフォース・ジャパンが営業部門のDX化を支援。若手社員がゲーム感覚で楽しみながらスキルアップできる仕組みを構築し、組織変革につなげたことが評価されました。

3つの受賞事例から、企業とスタートアップの出会いを起点に、具体的な事業や変革へと発展していく「共創」の力が、改めて示されました。


[9F サブステージ]セッション

DAY2のサブステージでは、数多くのトークセッションが行われ、多くの聴衆を集めました。幕開けを飾ったのは、「絶景・グルメだけでは関係性は作れない!?下田発!人が人を呼ぶ関係人口のつくり方~デジタルノマド×二地域居住×湾岸活用~」

日本のデジタルノマドの先駆者・塚田絵玲奈氏、多拠点居住の実践者で政策策定にも携わる近藤ナオ氏、元県職員として地域づくりに携わってきた菅沼忠嗣氏が登壇し、根岸やすゆき氏の進行で、下田から始まる新たな地域づくりの可能性について議論しました。

デジタルノマドの誘致や事業マッチング、住宅・仕事・趣味などをつなぐコミュニティマネージャーの育成、「IZU POINT」による地域活動への感謝の見える化など、具体的な取り組みを紹介。さらに、世界の富裕層をターゲットとしたスーパーマリーナ構想まで、地域に「外」の人を呼び込み、関係人口を広げていくための多彩なアイデアが語られました。

この後もサブステージでは、地域の未来や新たなビジネスの可能性をテーマに、多彩なセッションが続きました。

「静岡から、次の成長市場へ~グローバルサウスの魅力と可能性~」では海外市場への展開を、「空飛ぶクルマは静岡で本当に飛ぶのか?~2029年商用運航を目指すオール静岡の挑戦~」では次世代モビリティの社会実装を議論。

さらに、スポーツを起点とした共創を考える「Sports Zebras Program 第1期 共創ピッチ」、企業の成長と地域課題解決を目指す「静岡をベンチャースピリッツ日本一に!~売上にコミットするためのSIB成長志向~」も行われ、午後を通じて多様な分野から静岡の未来を考える議論が展開されました。


[1Fミニステージ]セッション

DAY2のミニステージも初日に増して盛況を極めました。「駿河湾における海洋実証フィールドの取組」、「静岡県ファンドサポート事業トークセッション・スタートアップピッチ」、「の真髄~茶道と核融合との出会い~」。それぞれ、個性的なセッションが開催されました。中でもの真髄~茶道と核融合との出会い~では、茶道への造詣の深い株式会社TeaRoomの代表取締役岩本氏と核融合エネルギーの実用化に取り組む株式会社Helical Fusion代表取締役の田口氏による、エネルギー問題の解決と、文化・芸術・思想・哲学の成熟、茶の湯の心が説く未来の在り方の相関を紐解くトークストーリーは、刺激的かつ面白味に溢れるものでした。一見異なる「茶道」と「核融合」を結びつけながら未来を考える、観客にとって刺激的で興味深いセッションとなりました。


[6Fミニステージ]セッション

グランシップ6F交流ホール横のミニステージでは、今年TECH BEAT Shizuoka 2026と共催した「静岡ウェルネスフーズEXPO」によるトークセッション、「お茶から始まる農業の未来~テクノロジーと地域がつくる新しい価値~」が開催されました。

一般社団法人AgVenture Lab会長・荻野浩輝氏をモデレーターに、農林水産省、株式会社TeaRoom、株式会社しずおかフィナンシャルグループから登壇。静岡のお茶産業が抱える高齢化や機械化の遅れ、関係人口の拡大、スマート農業の導入などをテーマに議論しました。

さらに、異業種とのテクノロジー連携や県境を越えた広域経済圏の構築にも話題が及び、一つの企業や地域だけではなく、さまざまな主体が連携して課題解決に取り組む「コレクティブインパクト」の重要性が示されるセッションとなりました。


商談コーナー・スタートアップ出展ブース

商談コーナーやスタートアップブースでは、多くの来場者が足を止め、展示やサービスを熱心に見入る姿が見られました。

省力化・効率化・DX化など、業務改善や事業拡大につながるさまざまなサービスが並ぶ一方、「自社に何が必要なのか」「どこから導入すればよいのか分からない」という企業側の悩みも聞かれました。

AIを活用したペーパーレス化を提案するスタートアップからは、「静岡は製造業が多い一方、今も紙に頼る現場は少なくない」との声も。単に紙をデジタルに置き換えるだけでなく、業務そのものを見直すきっかけとしてAIを活用できるとし、実際の導入につながる出会いへの期待を寄せていました。

展示会場では、技術を「見せる」だけでなく、地域企業が抱える具体的な課題とスタートアップの技術をどう結びつけるかが、共創を生み出す重要なポイントとなっていました。