DAY3/2026年7月25日(土)

イベント最終日の7月25日(土)、連日の暑さにもかかわらず、グランシップには開場を待つ長い列ができ、最終日も盛況のうちにスタートしました。
この日は、先端技術やスタートアップに関心を持つビジネス層に加え、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる「ファミリーデー」として、さまざまな企画や体験イベントを展開。予定より10分早く開場すると、メインステージ前はもちろん、2・3階席まであっという間に埋まりました。
オープニングでは、2日目終了時点ですでに来場者数が1万人を突破したことも発表され、3日間の盛り上がりを象徴する幕開けとなりました。
[1Fメインステージ]
盛況を極めたTECH BEAT Shizuoka 2026のDAY3、そのトップを飾ったのが、「世界を変える挑戦者たち~AI時代の新たな産業創造~」。世界を舞台に活躍するサッカー界のスーパースターであり、ベンチャー投資家としても挑戦者を支える本田圭佑氏の登壇とあって、開場前から多くの家族連れが列をつくり、2・3階席まで埋め尽くす大盛況となりました。
本田氏に加え、投資先でありAI時代の最前線で産業変革や社会課題の解決に挑むスタートアップのCEO、newmo株式会社の青柳直樹氏、株式会社ミツモアの石川彩子氏が登壇。AI時代に必要な変革や、挑戦者に求められるマインドセット、投資家としての視点について、熱のこもった議論が交わされました。
本田氏は投資先を見極めるポイントとして、「解決しようとしている課題とビジョンの大きさ」と「事業テーマのタイミング」の2点を挙げ、現在注目しているのは、現場に蓄積された価値あるナレッジとデジタルを組み合わせたバーティカルAIだと説明。両CEOからは、本田氏が「目線を上げてくれる」存在として、経営者に大きな刺激を与えているとの声も聞かれました。
最後に本田氏は子どもたちに向け、「身近な上手い人に憧れてサッカーを始めるように、起業も自然に選択できる社会に」とエール。会場いっぱいの家族連れに、挑戦することの可能性を力強く届けるセッションとなりました。




本田氏のセッションの熱気が冷めやらぬ中、続いて登壇したのは、TECH BEAT Shizuokaの常連スピーカーである立命館小学校教諭・正頭英和氏。基調講演「AI時代に子どもの学びをどう育てるか~グローバルティーチャーが教える知性・創造性を引き出す教育のあり方」が行われました。
教育への関心が高い来場者から支持を集める正頭氏は、AIによって計算や情報収集など、これまで人が担ってきた役割が変わる中で、知識を覚えることだけでなく、自ら選択肢を生み出す発想力や、人との雑談を通じて信頼関係を築く力が重要になると指摘しました。
さらに、「心が育つとは視点が増えること」と語り、一見不可解に見える子どもの行動にも意味を見いだすことが、他者への理解を広げる力になると説明。「楽しい時は笑顔が育ち、苦しい時は心が育つ」という言葉に、頷く来場者が多く見られました。

最終日の午後、TECH BEAT Shizuoka 2026もいよいよ終盤へ。メインステージでは、「ディープテックを、世界と共に、産業へ。」を掲げる国際イベント「Global Startup EXPO 2026(GSE2026)」とのコラボセッション、「ディープテックで創る新産業:静岡から世界を動かす~最先端技術を現場へ引き込む社会実装戦略」が行われました。
GSE2026統括ディレクター・東博暢氏をはじめ、航空・ドローン分野の伊東明彦氏、暗号技術のスペシャリスト・竹之内隆夫氏が登壇。世界のディープテックの潮流を踏まえ、最先端技術をいかに社会や産業の現場へ実装するかについて議論しました。
特に、ものづくり企業が集積し、一次産業にも豊富な現場を持つ静岡を「実証実験のフロンティア」と捉え、スタートアップの先端技術と地域企業の技術・現場力を掛け合わせ、新たな産業を生み出す可能性を展望。静岡から世界へ、技術を「実装」し産業につなげるための具体的な戦略が語られるセッションとなりました。


続いてメインステージでは、TECH BEAT Shizuoka 2024への登壇で大きな反響を呼んだ学生宇宙食研究者 増田結桜さんを中心に、「地域の未来は“変人”がつくる ~挑戦者に必要な『リソースフルネス』~」が行われました。
常識にとらわれず自らの問いを追究する「変人」の価値を起点に、手元にあるものや偶然の出会い、人とのつながりを新たな資源へと変えていく「リソースフルネス」について議論。宇宙食への興味から研究・開発へと進み、その過程で協働や支援の輪を広げてきた増田さんの経験も紹介されました。
挑戦に必要なのは、最初から十分な資源を持っていることではなく、行動しながら身近なものを「資源」に変えていく力。増田さんの歩みを通じて、地域の挑戦者を支える新たな視点が示されました。


[9F サブステージ]セッション
最終日の午後、9Fサブステージでは、これからの時代を担う学生たちによるトークセッション、「なぜ、いまインドで企業を学ぶのか?~T-HUBイマーシブプログラムに参加した静岡の学生が語る、インド流・企業の考え方~」が行われました。
インド・ハイデラバードのスタートアップ支援拠点「T-Hub」の渡航プログラムに参加した学生3人が登壇。医療や環境問題など、それぞれのテーマを胸に現地へ飛び込み、インフラや市場規模の違い、圧倒的なスピード感、人とのつながりなど、現地で得たリアルな気づきを語りました。
渡航をきっかけにビジネスアイデアを磨き直したり、新たな視点から挑戦を始めたりと、海外での経験を次の行動につなげる学生たちの姿から、静岡の若い世代が世界へ踏み出す可能性を感じさせるセッションとなりました。

続くサブステージでは、静岡経済同友会が主催する「テイクオフ静岡」の卒業生5人によるライトニングピッチ、「静岡経済同友会協議会が生み出した『テック系の地域ビジネスとは?』」が行われました。
「テイクオフ静岡」は、個人の情熱やアイデアを起点に地域活性化ビジネスの創出を支援するプログラム。7年間で30の事業が生まれ、事業性と公益性の両立を目指す「超絶まちづくり」を進めています。
この日は、スポーツ科学による健康経営支援、模型を通じた創造性教育、食べるお茶による新文化創造、3Dプリンターを活用した地域活性化、未利用資源から生まれるアロマ事業など、個性豊かな5つの事業を紹介。
それぞれが「自分がやりたい」という思いを出発点に、地域の課題や資源と結びつけながら事業へと育てている姿が印象的で、情熱と突き抜けたアイデアが地域に新たな価値を生み出す可能性を感じさせるピッチとなりました。

[1Fミニステージ]セッション
最終日午後、この日も1本のミニセッションが行われました。「Viva Tech 2026 現地報告会〜静岡発スタートアップは世界でどう戦うか〜」。Viva Techはフランス・パリで毎年開催されているグローバルなテックイベント。TECH BEAT ShizuokaもこのViva Techをモデルとしてコーディネートされています。このセッションでは、今年のViva Techのジャパンビレッジに参画出展したスタートアップ、行政によるサポートメンバーが現地での体験談や商談エピソードを交え、海外展示会出展の意義や成功のポイントを語りました。
特にジャパンビレッジに出展者として参加し自社の技術を現地でPRした、パイフォトニクス株式会社池田貴裕氏によれば、海外のこの種のイベントへの出展について「迷ったら出るべき」と力説。思わぬ形から新たなビジネスが生まれたり、意外な業種からの問い合わせがあったりと、気づきの多い体験が必ずあるとしてスタートアップのグローバル進出にエールを送りました。

体験型アトラクション・お子様向け参加型コンテンツ
TECH BEAT Shizuoka2026会場では、次代を担う子どもたちが最先端のIT技術に触れるチャンスとして1F、2F、6F、11Fにてさまざまなブースが出展されました。事前に小学校に向けチラシを配布するなどの告知の成果もあり、開催3日間を通じ多くの家族連れでにぎわいました。

6Fメタもバース META-MOVERS (7/25)
ゲームを通じて「脱炭素 × 生物多様性」のシミュレーションが体験できるイベント。画面の中に再現された浜名湖にアマモを植えると、CO2吸収量やが増える様子が可視化されます。実際に続けられている環境活動を知るきっかけにしてほしいと開発されました。DAY3に開催された本イベントは、午前中で予約が埋まってしまうほど大盛況でした。


半球型ドームスクリーン映像体験コーナー(1F)
毎年人気の迫力あるVR映像「ワンダービジョン」が登場し、家族連れが長い列を作りました。今回は世界の絶景をドローンで体験できるドームと、清水エスパルスの試合会場に入り込めるドームの2種類を展開。
エスパルスのドームは選手視点とサポーター視点から、臨場感たっぷりにサッカーを楽しめるとあって、どちらも1時間以上待ち時間が出る人気ぶりでした。


ドコモ未来プロジェクト(11F)
ドコモが主催する創作絵画コンクール「ドコモ未来ミュージアム」。その25周年を記念して、11Fの会場では静岡の未来を想像したデジタルアートを描いてもらうアート制作体験が開催されました。この企画は子どもたちにプログラムやITといった最先端技術に触れ、身近に感じてほしいという思いによるもの。未来の静岡にあったらいいなと思うものをタブレットで描くと、AIによって画面に取り込まれ、静岡の街を自由に動く様子が楽しめます。自分が描いた絵がいきいきと動く様子に、たくさんの親子連れから歓声が上がりました。


SKETCH DUNGEON(お絵かきAIダンジョン)(11F)
お絵描きを楽しみながらクイズを解き、どんどん洞窟を進んでいく「最先端お絵描きAIクイズ」。ときには家族みんなで相談しながらクリアを目指し、最後に笑顔で記念撮影をするほほえましい光景も見られました。親子で遊びながらAIを体験できるコンテンツでした。


eスポーツフェスティバル(11F)
eスポーツフェスティバルの会場では、eスポーツは初めてという人も、すっかり腕を上げた上級者も、誰もが気軽に参加できるとあって、連日多くの人でにぎわいました。来場者同士でも対戦や、中高生によるトーナメント戦など、オンラインとはひと味違った臨場感や一体感に、参加者は目を輝かせていました。


しずモビプロジェクト 作って動かす!モノ作り体験!(2F)
「しずモビプロジェクト」は静岡県内の自動車メーカー、トヨタ・ホンダ・スズキの有志が集まり、製造業が盛んな静岡が抱えるさまざまな地域課題を、ものづくりや文化継承の観点から解決に取り組むコンテンツ。子どもたちに、静岡が誇るものづくりの技術を知ってもらおうと企画されました。今年で2回目となる今回は、「宇宙」をテーマに、部品を組み合わせて自分だけの探索機を作り、完成した後は、惑星に見立てたコースを走らせる体験をしました。次世代を生きる子どもたちに、ものづくりの楽しさや、自分で作ったものを動かす面白さを知ってほしい、そんな思いが伝わってくるブースでした。


[1Fメインステージ]ラストコンテンツ
最終日メインステージでは、いよいよラストのコンテンツとなりました。静岡県出身の俳優・別所哲也氏による、AI時代のデジタルライツについての基調講演「若き挑戦者へ~失敗を恐れず進む力~」が開催されました。俳優としてのキャリアを重ねながら、28年前から企画・運営している国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア」。そこから得たクリエイターネットワークと、映像資産を活用し、個人が持つ動画資産の著作権や映像資産を管理する新事業が「ライフログボックス」構想です。ハリウッドではすでにデジタルライツをどう管理するか、その重要性が課題になっているとのこと。誰もが気軽にスマートフォンで撮影し、SNSなどで発信できる「全人類動画クリエイター時代」に、個人が持つ資産をどう守り、あるいは収益化するか。
「保証ビジネス」として確立すべき時代に来ていると実感できる内容でした。最後に、別所氏本人をAI化し、制作されたショートフィルムも公開され、そのクオリティの高さに大きな拍手が起こりました。

別所氏の基調講演に続き、静岡県内のスタートアップや学生が、それぞれの新規事業を発表する「挑戦者ピッチ」が開催されました。スタートアップ支援拠点や大学が推薦した8チームがヘルスケアや介護、地域創生、教育格差、eスポーツなど多岐にわたる分野で、事業アイデアを発表しました。別所哲也氏ら3人のコメンテーターは、挑戦者それぞれが取り組みたい社会課題への情熱に真剣に耳を傾け、ビジネスモデルの解像度や、ターゲット顧客の明確化、事業の継続性、効果測定、ストーリーテリングの重要性といった視点でアドバイスしました。
若手によるエネルギッシュなピッチは挑戦者の祭典TECH BEAT Shizuokaのトリを飾るコンテンツにふさわしく、会場が一体となる盛り上がりを見せました。




[1Fメインステージ]クロージング
3日間に渡り繰り広げられたTECH BEAT Shizuoka2026もいよいよクロージングの時を迎えました。壇上にはTECH BEAT Shizuokaプロデューサーの西村氏、堀内氏が立ち、昨年を超え盛り上がりを見せた3日間の総括を行いました。
他の地域での同様のムーブメントのモデルとなりつつある点、商談こそがこのイベントの意義であり、ここで生まれたビジネスの進捗を事務局にぜひ共有してほしい旨、「静岡は挑戦者の街」としてさらに盛り上げていこうと締めくくりました。

ラストは恒例の記念撮影。ステージ上に収まりきらないほどたくさんの出展者と一緒に、「TECH BEAT Shizuoka!」の号令でポーズを決めました。
出展企業・団体の皆様、協賛企業の皆様、来場者の皆様が、TECH BEAT Shizuokaを通じて様々な人や先端技術と出会い、多彩な講演やトークセッションを通じ自分の興味関心や課題の核を認識し、新たな一歩を踏み出す機会を作るため、TECH BEAT Shizuokaはこれからもさらなる高みを目指してまいります。3日間、ありがとうございました!




